「道の駅小松オアシス」での朝は予報通りどんより天気で、しかも激しい黄砂の影響で、黄色い霧が掛かったように視界が悪かった。
東の方角に見える山々は、「剣山」に行くことを諦めて正解だったなと思えるくらいに、黄色く霞んでしまっていた。
今日は今にも降り出しそうな天気ではあったが、徳島に戻る途中で「うだつの町並み」を観光してみることにした。11時半に「道の駅小松オアシス」を出発して、「いよ小松IC」から松山道へと入った。
その後は徳島道に入り、四国旅の初めに降りた「井川池田IC」を過ぎて、「吉野川SA」で小休憩、そして「美馬IC」で徳島道を降りた。
高速を降りてすぐのところに「道の駅みまの里」があったが、中を一周だけして通過。
13時半に「うだつの町並み」に隣接する「道の駅うだつ」に着いた。普通車エリアは混んでいたので、大型車の駐車エリアにADRIAを停めた。
吉野川北岸のこの地域は主要街道が交差する交通の要衝であり、吉野川に面しており舟運の利用にも適していた為、藍の集散地として栄えた。現在は明治時代頃のものを中心とした伝統的建造物が「うだつの町並み」として建ち並んでいる。
道の駅に隣接しているこの公園は、かつては船着き場で、正面の立派な建物はこの街の中でも最も大きな藍問屋だったそうだ。そのため公園の中に和船が2艘展示されている。
この建物を通り抜けると、「うだつの町並み」と呼ばれる道に出る。花見が終わった時期で人通りが少なく、タイムスリップした感じになった。
いくつかの建物にはこの様な展示がなされて、雰囲気を盛り上げている。
一軒の雰囲気の良いお店があった。「そば米雑炊 茶里庵」というそば米を食べさせてくれる店だった。
昔、徳島の祖谷地方は山々に囲まれて米が育ちにくい気候とされており、米の代用としてそばを作ることが定着したと言われている。通常、そばの実を粉にしてそばを作るが、「そば米」はそばの実をそのまま塩ゆでして殻をむき、乾燥させたものだ。「そば米雑炊」はそんなそば文化から生まれた郷土料理で、「そば米」を野菜や肉とともにだしで煮込み、雑炊に仕上げたものだそうだ。
そば米雑炊、木綿豆腐、白菜の浅漬けのセット。
「そば米」、人参、ごぼう、阿波尾鶏、お餅が入っている。「そば米」はお米の代用品なので、お米でできたお餅が入っているのはおかしいのだが、そこはオーナーさんのアレンジだそうだ。「そば米」は、プチッとした食感が特徴的だった。木綿豆腐は地元産の手に入りにくい人気のお豆腐だ。
きな粉餅が付いてくる。
お店の向かいは、先ほどの大きな藍問屋の正面玄関となっていて雰囲気がある。
現在は脇町の管理となっているそうだ。
あまり調べずにやって来たのに、思わずお昼から郷土料理を食べられて運が良かった。
一旦ADRIAに戻り、ノエルとリオンを連れて再び散歩することにした。何とも郷愁を誘う看板が自然に残されている。よくあるレトロ館のようだ。
随分と立派なうだつだ。
歴史的な建物のいくつかは、上手くカフェや土産物店に改装されて保存されていたが、まだ居住されている方もいるようで、老朽化と共にこの街の維持・保存の大変さを感じた。
川を渡って歩いて行くと「オデオン座」の前にやって来た。「オデオン座」は昭和初期に本格的な芝居小屋として建てられ、戦後には地域の憩いの場として親しまれた。その後、一旦は閉館、取り壊される予定だったが、山田洋次監督の映画のロケ舞台となったことがきっかけで、町指定文化財として創建時の姿に修復され、一般公開されることになったという建物だ。
ノエルとリオンがいたので中の見学は諦めて引き返すことにした。
最後に歴史ある門の前で記念撮影。ノエルもリオンも良い子でした。
「脇町IC」から徳島道に入って、一路徳島を目指した。
16時半に「道の駅くるくる鳴門」に着いた。約20日振りの訪問で、少し懐かしささえ覚えた。お目当ては、「絞りたて鳴門金時のモンブラン」だったのだが、残念なことに今日は既に売り切れてしまったとのことだった。その代わり、海鮮弁当などを購入した。
「道の駅くるくる鳴門」は駐車場が狭くてADRIAでの車中泊には向いていないので、勝手知ったる「RVパーク鳴門天然温泉あらたえの湯」を再び利用することにした。偶然また同じRV-4という区画を指定された。
ゆっくりと温泉に入って、安心してビールが飲めるのが良い。
家内が温泉から上がったので、遅めの夕食にした。今日は「道の駅くるくる鳴門」で買ってきた、スペシャルシール付きの海鮮弁当だ。
四国の旅は今日で24日となって、四国に入って最初に泊まったRVパークに戻ってきた。なんとか四国一周できたな。