今回のキャンピングカーショー2023はまさに「デュカト祭」だった。2022年9月、FIATデュカトが国内で販売されるのに伴って、デュカトの総代理店であるステランティスジャパンが国内のキャンピングカービルダー5社と提携することが発表された。今回のショーで各社からお披露目されるはずなので、現役デュカトキャンピングカー乗りとしては、期待してショーに臨んだ。
正規販売代理店契約を締結したのは、RVランド、ホワイトハウス、ナッツ、岡モータース、トイファクトリーの5社だ。
日本に導入されるのは、次の3バリエーションとなる。
- 標準モデル「L2H2」:全長5.4m×全高2.5m
- ロングホイールベースモデル「L3H2」:全長6.0m×全高2.5m
- ロングホイールベースのハイルーフ仕様「L3H3」:全長6.0m×全高2.8m
RVランドと岡モータースは同じブースでの展示となっていた。ホワイトハウスはキャンピングカーの展示は無かった。ナッツは昇降式ベッド仕様のものが2タイプ展示されていた。キャンピングカービルダー5社の中で、完成度が高く最も気合が入っていたのは、トイファクトリーだったので、まずはトイファクトリーのブースの紹介をしたいと思う。
トイファクトリーはハイエースベースのバンコンを中心に手掛けているだけあって、ハイエースとデュカトを並べて展示して、「L2H2」(全長5.4m)であれば、大きさに大きな差が無いことをアピールしているようだった。ただ、着座位置の差から、デュカトの方が狭くなるような気がする。その代わりに車内で直立できるのがデュカトのメリットとなろう。
デュカトベースのキャンピングカーは4台展示されていた。注目度が高く会場内で一番人が多かったように思った。
このようなデュカトベースのキャンピングカーのカタログも完成していた。他社は製作中だったりしたので、この点からもトイファクトリーの力の入れようが解かる。
中でも「DA VINCI」というニューモデルは質感が高くセンスが際立っていた。5.4m仕様と6.0m仕様があるようだが、展示車は6.0m仕様「L3H2」だった。
入口のステップがオプションかどうかは聞くの忘れた。
レオナルド・ダヴィンチをイメージしたカッティングシートとのこと。
リア扉の内側にはソフトな内張り仕様になっている。
最近のADRIAは上位モデルでも家具が直線で白色になり味気なくなってしまったのだが、「DA VINCI」の家具は曲線と色合いが洗練されている。
LEDも電球色になっているのが良い。
コストが掛かるのでここまでしなくて良いのだが、荷室の角も曲線になっている。
エアコンは天井タイプとなっている。
入口のLEDは少し派手目だが、ペンダント式の室内灯が良く似合っている。
ドイツの「CONTINENTAL TIRES」社「VanContact™ Camper」を履いていた。確認していないが恐らくアルミホイールと共にオプションではないか。
このシートは本革だそうだ。HYMER、ADRIA、Dethleffs等で採用されているシートメーカー「aguti」社製のものを採用しているとのことだ。
シートヒーターが付いていて高さ調整が電動となっている。
冷蔵庫は3ウェイではなく電気式とのこと。ベッドとの境目のスリット状の板はトイレのドア横のデザインと統一されていてセンスが良い。
トイレはカセット式になっている。
洗面ボウルが小さいので、歯磨きには十分だが、洗顔すると水浸しになるかもしれない。
シャワーは付いているが、使用するとトイレにも水が掛かってしまう仕様となっている。シャワーはあまり使わないので良いが。尚、清水は100リットル、グレータンクは85リットルとなっており、シャワーを浴びられるスペックにはなっている。ボイラーはFFヒーターを兼ねた走行用軽油から供給する軽油式とのこと。
入口のスイッチ類。照明とステップ用か?
コンロは2口で、カセットガス式でLPGボンベは搭載しないとのこと。水栓蛇口はシャワーと合わせて黒食に統一されている。
値段は1531万円。サンルーフが付いていた方が良いかな、荷室が少し狭いのでせめてベッドが昇降式なら良いなとか思うところはあるが、日本製でこの仕様・質感のデュカトベースキャンピングカーが出てきたのが嬉しい。
この「DA VINCI」と次の「Origin」は、HYMERの元メインデザイナーを迎え入れて質感を重視して開発をしたという。今後、トイファクトリーとしては、新たにドイツのキャンピングカーブランド「ETRVSCO」の取り扱いを始めたり、輸入キャンピングカーを展示するショールームをオープンする計画があるそうだ。今後も注目していきたい。
「Origin」は最大6名乗車が可能なモデルだ。「DA VINCI」と同様に5.4m仕様と6.0m仕様がある。ポップアップルーフ仕様が展示されていた。家族が多い人や普段使いもしたい人には魅力があるに違いない。内装は比較的シンプルに抑えているものの、リアシートの仕様が素晴らしい。
ベンチシートではなく独立したタイプを採用している。シート毎にシートベルトが設けられていて、レールで位置を調整できるようだ。この様なシートは前モデルの「ニースマンビショフSMOVE7.4B」でしか見たことが無い。
ベッドは固定式。
サードシートが付いて価格は1359万円。
「EURO BARDEN」というモデルは5.4m仕様だけのようだ。ポップアップにすることは出来る。ハイエースベースのフラッグシップ「BARDEN」のコンセプトをデュカトベースに移植した位置付けのモデルだ。
ルーフエアコンを付けなければ、ルーフウィンドとなるようだ。
他のモデルと同様に固定式のリアベッド。
価格は1283万円。
衝突安全性に優れたドイツの車両用キャビネットシステム「bott」で内装を作ったシンプルな「ASO bott」というモデルも展示されていた。